料理上手になるための基本的な包丁の使い方
まず、「包丁がうまく使えたら、料理はもっと速くて、安全で、おいしくなるはず…」そう思ったことはありませんか?
大丈夫。というのも、今日から少しずつ身につければ、切り口は美しく、火の通りは均一に、そして味もしっかり決まるからです。
そこで、このページでは、握り・姿勢・動かし方から、研ぎ・メンテまでをやさしく、一歩ずつご案内します。
はじめに:なぜ包丁が上達の近道?
結論から言うと、包丁の基本は料理全体の“土台”です。なぜなら、切り方が整うだけで火通り・味の染み方・口当たりまで一気に安定するからです。さらに、段取りや片づけにも好影響が及び、結果としてキッチン全体のリズムがよくなります。
問いかけ:「レシピ通りに作っているのに、お店みたいにならないのはなぜ?」
答え:そこで重要になるのが“切りの整い”。切り方が整うと、食材の表面積と厚みがそろい、したがって火の通り・味の染み方・口当たりが安定します。つまり、包丁の基本が、料理全体の“土台”になります。
- 速さ:まず無駄な動きが減り、結果として段取りがスムーズになります。
- 安全:次に安定した姿勢と握りで、指先を確実に守れます。
- おいしさ:さらに均一な厚みで、食感と味が整います。
まずは安全:けがを防ぐ5つのルール
とはいえ、上達の前に安全が最優先です。そこで、今すぐ実践できる5つの基本を押さえましょう。なお、どれも難しくはありませんが、毎回きちんとがコツです。
まな板を安定させる
まず土台を固定します。すると、刃はまっすぐ動き、余計な力が要りません。逆に、土台が不安定だと、どうしても力がブレて危険です。
濡れ布きんや滑り止めを下に敷き、まな板を動かない状態に固定します。したがって、土台が安定すると、刃はまっすぐ動きます。
添え手は“猫の手”
次に、指の形を整えます。なぜなら、指腹が刃に触れない形が事故を遠ざけるからです。さらに、ガイドができるため切り幅もそろいやすくなります。
指先を内側へ曲げ、第一関節を刃のガイドにします。爪先は食材の上面を軽く押さえ、指腹が刃に触れないようにします。
切る前の確認
さらに、始める前の「3チェック」でヒヤリを減らします。つまり、刃・場・人の確認です。
- 刃の状態(欠け・錆・切れ味)
- 作業スペース(散らかりを片づける)
- 人の位置(周りに子どもやペットがいないか)
刃の向きと落下時の対応
また、安全な向きと万一の対処を先に決めておきます。そうすることで、焦って手を出すリスクを下げられます。
人に刃を向けて手渡さないこと。万一落としたら、絶対に手で受け止めず、落とさせるのが安全です。
片付けと運搬のマナー
最後に、使った後の扱いで事故をゼロに近づけます。加えて、刃持ちも良くなります。
洗ったら水分を拭き、鞘に入れるか布で包んで保管・運搬します。シンクに放置すると事故の原因になります。
道具選び:最初の一本+補助
まずは道具から。というのも、手に合う一本は練習効率を大きく底上げするからです。とはいえ、選択肢は無数。そこで、最初の判断基準を絞ります。
はじめの一本:三徳 or 牛刀

三得包丁と牛刀
結論、迷ったら三徳。ただし、軽快さを求めるなら牛刀も有力です。いずれも万能で、違いは“刃の線の長さ”と“軽快感”です。
家庭なら三徳(165〜180mm)が万能です。肉・魚・野菜を幅広くこなせます。刃渡りは「自分の手首から肘の1/3程度」が扱いやすい目安です。薄刃で軽快に切りたいなら牛刀(180〜210mm)も選択肢です。
サブに便利:ペティナイフ
次に、細かい仕事をラクにする相棒を用意しましょう。特に、果物や飾り切りに強いです。
果物や細工、小さな食材に便利です。狭い作業場でも取り回しやすく、メインの負担を減らします。
あると助かる道具
さらに、補助ツールで“安全と速度”を両取りします。とりわけ、切れ味維持の道具は効果が直結します。
- パン切り(波刃):崩れやすいパン・ケーキに
- 砥石・ホーニングロッド:切れ味維持に必須
セットアップ:姿勢・握り・まな板ポジション
ここから体の使い方を整えます。まず姿勢、次に握り、そして配置の順で固めましょう。そうすることで、同じ力でも精度が上がります。
立ち位置と姿勢
まず、体の中心とまな板の中心を合わせます。これだけで安定感が段違いです。さらに、肩の力を抜くと長時間でも疲れにくくなります。
肩幅に足を開き、体の正面にまな板の中心が来るように立ちます。肘は軽く曲げ、肩の力を抜きます。目線は刃先と食材の接点に置き、背中はまっすぐ保ちます。
基本の握り:ピンチグリップ
次に、最も汎用性の高い握りを覚えます。つまり、刃元をつまんでコントロールする形です。
刃元のリカッソ付近を親指と人差し指でつまみ、残りの指で柄を包む握りです。刃のコントロールが高く、少ない力で安定します。固い食材や厚切りにはハンドル握りに切り替えてもOKです。
まな板上の配置
そして、動線を短くすると、作業は一気にスムーズになります。加えて、片づけもラクになります。
利き手側に包丁の置き場、反対側にボウル、まな板奥に捨て皿を置き、切る→入れる→片づけるの動線を短くします。
基本動作:4つの切り方
まず、刃は“叩く”より“滑らせる”。この前提で4動作を身につけます。さらに、食材に合わせて切り替えられると、仕上がりが段違いに整います。
押し切り(前へ押す)
硬い野菜に最適。刃を長く使うイメージで前進させます。なお、刃を立てすぎると引っかかりやすいので注意です。
にんじん・じゃがいもなどの硬い食材に。刃元を当て、前へ押し出しながら刃全体で切るとまっすぐ切れます。
引き切り(手前へ引く)
潰れやすい食材は“引いて切る”が基本です。とりわけ、皮が滑るトマトに有効です。
トマト・刺身・パンに有効。刃先〜中腹を食材に置き、手前へ長く引くと潰さず薄く切れます。
突き切り(真下に素早く)
細かく速く刻みたいとき、静かな垂直動作で仕留めます。すると、食材が跳ねにくくなります。
ねぎの小口や薄切りに。刃先を少し前に出してから真下に落とすイメージで、リズムよく刻みます。
ロッキング(揺らし切り)
量の多いみじんは“支点を作って揺らす”と速く細かくなります。加えて、刃先を動かさないと安全です。
ハーブや大量のみじん切りで活躍。刃先を支点にし、刃を前後に揺らして細かく刻みます。添え手は刃背に添え、安定させます。
切り方の基本フォームとサイズ呼称
次に、形とサイズをそろえる“言語”を共有します。これでレシピの再現性が一気に上がります。さらに、家族で分担しても仕上がりが揃います。
輪切り・半月・いちょう・斜め切り
まずは丸い野菜の安定化から。転がさない工夫が安全の入口です。たとえば、端を少し落とすだけでブレが激減します。
丸い野菜は端を少し落として安定面を作ってから切ると安全です。いちょう切りは半月をさらに半分に。
千切り/細切り/短冊/拍子木
次に、薄く→重ねて→幅をそろえる“3手順”で均一に。つまり、工程を分けると精度が上がります。
平らにスライス→積んで→幅をそろえて切るのが基本。千切り2mm、細切り3mm、短冊4〜5mm、拍子木1cm角を目安にします。
みじん・ブリュノワーズ・サイの目
さらに、玉ねぎは“包丁目の順番”が命です。なお、根を落としすぎるとバラけやすいので注意しましょう。
玉ねぎは根を落とし過ぎず、水平→垂直→垂直の順で包丁目を入れると、均一なみじんになります。ブリュノワーズは2〜3mm角、サイの目は5mmまたは1cm角が基準です。
食材別のベストプラクティス
ここからは“食材ごとの最短ルート”です。同じ火でも切りが変われば結果が変わります。だからこそ、切り分けで味を整えます。
玉ねぎ:繊維で食感コントロール
シャキかトロリか、まず繊維の向きで決めましょう。つまり、レシピより“食感の設計”が先です。
繊維に沿って切るとシャキ、繊維を断つとトロリ。涙対策は冷蔵で冷やし、根元を最後に切り落とします。
人参:安定させて均一に
転がる人参は“安定面づくり”が第一歩です。結果として、火通りがそろいます。
まず片面を薄く落として寝かせ、安定面を作ります。押し切りで厚みをそろえると、火通りが均一になります。
トマト:皮が滑るときは引き切り
潰さず薄く切るには、力ではなくストロークです。とりわけ、熟した実ほど効果的です。
刃先を生かして長く引くだけ。ギザ刃やよく研いだ包丁を使うと潰れません。
きゅうり・長ねぎ:小口・斜め・白髪ねぎ
食感を変えたいときは“断面の広さ”を操作します。さらに、水にさっとさらすと辛味が和らぎます。
小口は垂直、斜めは断面を広げて食感アップ。白髪ねぎは縦に薄くスライス→水にさっとさらして辛味を抜きます。
きのこ・葉物:押さえ方がカギ
水っぽさを避けるには、強すぎない“押さえ”が有効です。逆に、押え込みすぎは香りを潰します。
きのこは手でほぐし、押さえは軽く。葉物は重ねて丸め、シフォンナード(細切り)で香りを引き出します。
肉:筋切り・そぎ切り
やわらかさは“筋の処理”と“刃の角度”で決まります。つまり、加熱前のひと手間が勝負です。
筋を見つけて数カ所切り込み→加熱時の反りを防ぎます。そぎ切りは包丁を寝かせて刃を長く使うと柔らかく感じます。
魚の柵:刺身の引き切り
繊細な断面には“一筆書き”が効きます。なお、前後に往復させないのがコツです。
身の目に合わせ、刃元から刃先までを一筆書きで引きます。前後にギコギコせず、一回で切り抜くのがコツ。
パン・ケーキ:圧をかけない
崩しやすい生地は、圧ではなく“往復”で切ります。だから、長いストロークを意識します。
波刃で長いストロークを意識。押しつぶさず、のこぎりのように往復させます。
下処理の基礎ワザ
下処理は“切る前の整地”。ここを整えると、以降の作業が軽くなります。さらに、味の乗りも良くなります。
皮むき:包丁とピーラーの使い分け
厚みと安全で道具を選び分けます。とりわけ、均一性が欲しいときはピーラーが有利です。
面取りや厚めの皮は包丁、薄く均一にむきたいときはピーラー。作業の速さより安全を優先します。
面取り・隠し包丁
煮崩れ防止と火通り均一のための“小さなひと手間”です。結果として、見た目も味もワンランク上がります。
角を落として煮崩れを防ぎ、味含みを良くします。固い根菜は隠し包丁で火通りを整えます。
かつら剥き入門
最初は短距離で成功体験を積みましょう。やがて、薄さと幅が自然と揃ってきます。
大根の側面を平らにしてから、一定の厚さで回しながら薄く剥きます。最初は5〜7cmの短い距離で練習しましょう。
上達のステップ:速度より精度
結局のところ、速さは結果。まず精度、次にリズム、そして最後に速度がついてきます。ゆえに、焦らず順番を守りましょう。
まず正確さを作り、次にリズムを安定させ、最後に速度を上げます。厚みが揃っていれば、火通りと味は自然に整います。
- 利き手は刃を動かし、添え手は位置決めと押さえに集中。
- 食材はできるだけ動かさない。刃を動かすのが基本。
- 切った後は定規や目分量で厚みチェックの習慣を。
よくあるNGと直し方
ありがちな“やってしまいがち”を先に知れば、回避は簡単です。反対に、知らないまま続けると刃も腕も消耗します。
- こじる/こすり集める:刃先を傷めます。集める時は刃を上に向けて柄で集めるか、ベンチスクレーパーを使います。
- 力み過ぎ:肩と手首が固まると危険。呼吸を整え、肘から先をしなやかに。
- 手元を見ない:視線は刃と食材の接点へ。テレビやスマホは一旦オフに。
- シンク放置・食洗機乱用:錆・変形・柄割れの原因。使ったらすぐ洗って拭く習慣を。
5分ドリル:毎日の練習メニュー
短時間でも“毎日少し”。この積み重ねが最速の近道です。つまり、時間より頻度が効きます。
短時間でも毎日少し続けると、手は確実に慣れます。厚みや幅の均一性を意識しましょう。さらに、写真を撮って比べると上達が見えて楽しくなります。
- Day1:長ねぎ小口100枚(厚さ一定)
- Day2:玉ねぎみじん半個(水平→垂直→垂直)
- Day3:人参千切り10cm(幅2mm目安)
- Day4:トマト薄切り5枚(引き切り)
- Day5:パセリみじん(ロッキング)
- 週末:全種復習+写真で“均一さ”を自己採点
ミニFAQ(小さい手/左利き/ネイル/滑り対策)
最後に、よくある疑問を手短に解決します。迷いを一つずつ外していきましょう。なお、個人差があるので“合う”を最優先にしてください。
手が小さいのですが、どの刃渡りが扱いやすい?
扱いやすさは“短すぎず長すぎず”が鍵です。加えて、重さと重心も確認しましょう。
三徳165mm前後が取り回しやすいことが多いです。ピンチグリップで刃元をつまむと、さらに安定します。
左利きですが、両刃で大丈夫?
基本は両刃でOK。片刃は購入時に左右を確認しましょう。とくに和包丁は左右が分かれます。
両刃なら問題ありません。片刃は左右専用があるので、購入時に確認しましょう。
ネイルが長いと猫の手が難しい…
指先ではなく“側面”を使えば安全に押さえられます。さらに、使い捨て手袋でグリップを補助してもOKです。
第一関節を丸め、指先ではなく指の側面で食材を押さえます。まな板を乾いた状態に保つと滑りにくくなります。
滑る食材を安定させるコツは?
固定・乾燥・土台の三点で解決します。つまり、転ばぬ先のひと手間です。
面取りで平面を作る、ペーパーで水気を拭く、まな板の下に濡れ布きんを敷く、の3点で安定します。
付録・保存版
最後に、いつでも見返せる“定規”をご用意しました。印刷してキッチンに貼るのもおすすめです。もちろん、スマホに保存しても便利です。
サイズ目安早見表
厚みと幅の基準があると、火通りは自然と整います。さらに、盛り付けの見た目も揃います。
| 名称 | 目安サイズ | 主な用途 |
|---|---|---|
| 千切り | 約2mm幅 | 炒め物、和え物 |
| 細切り | 約3mm幅 | サラダ、炒め物 |
| 短冊 | 約4〜5mm厚 | 煮物、炒め物 |
| 拍子木 | 約1cm角 | 煮物、フライ |
| ブリュノワーズ | 約2〜3mm角 | ソース、薬味 |
| サイの目 | 約5mm / 1cm角 | スープ、サラダ |
包丁の各部名称
名前を知ると説明が伝わり、練習の精度も上がります。つまり、共通言語が整います。
- 切っ先(先端)/刃元(根本)/峰(背)/あご(刃元の角)/マチ(柄元の段差)
練習用買い物リスト & セットアップ
“準備8割”。そろえておけば、すぐ始められます。なお、余った食材は翌日の料理に回せます。
買い物:長ねぎ2本/玉ねぎ2個/人参1本/トマト1個/パセリ少量
準備:まな板(滑り止め)/布きん2枚/ボウル2つ/ベンチスクレーパー
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